『本草綱目』に曰く、「鋼鉄には三種類がある。生鉄に熟鉄を交ぜて鍛錬させて作ったもの、精鉄を百回鍛錬させて鋼鉄となったもの、西南海の山の中に生成される紫石英(玉に似た石で、五角形で両端が矢尻のような形状をしている)[紫水晶か?]のような模様のものである。刀・剣・斧・鑿などの多くの刃はみな鋼鉄だ。鉄の中には堅くて打てない部分があり、その名を鉄核という。香油(えごま油)を塗って焼けばすぐ消える。また曰く、土を浚って流水で溝に流し、これを灌田に引き入れると、油のようなまた泥のような形状の、色は黄金で甚だ腥烈なものがたくさん出てくる。冬に取り集めて、柔鉄が焼かれて赤くなった所に二・三回入れれば堅くなり玉をも切ることができる」 『武編』に曰く、「逹子(撻子とも言う。韃靼・契丹の西北の方に住む部族で、沙陀の別種から出た。今は蒙古を以て逹子と為すなり)は錬鉄に馬糞の火を用いた。鉄には生鉄と熟鉄がある。生鉄は火にとけ鼓鋳鉄となり、鍋釜となる。熟鉄は残物が多くて火に入れれば豆査(豆腐滓)のように流れない。冶工が竹夾(音は甲、左右で持つハサミ)でつかみ出して木棒で撞[つ]く(杖で打つこと)と塊になる。あるいは竹刀で爐中を掻き開いて刀と鉄砲を作るのに使う。 |