2009年12月12日土曜日

【遺伝子】11日付サイエンス誌、アジア諸民族DNAマッピングに関する自分用まとめ

11日付のサイエンス誌に掲載され、国内外の新聞各紙が一斉に取り上げたアジア諸民族のDNA解析研究結果について、自分用にまとめて見る。


1.報道

1.1.新聞社・国内

1.2.通信社・国内

1.3.新聞社・海外


2.元ネタ


3. 2chスレ

4.簡単まとめ、および所感

以下、正確性は一切保証しません。

4.1.研究概要

  • 研究グループは、HUGO Pan-Asian SNP Consortiumの名称で知られるJin Liら。[Science]
  • 調査の主眼はアジア人の遺伝子多様性のパターンの解明。[Science]
  • 「一塩基多型」(SNP)を約5万5千カ所解析。[Science]
  • 対象はアジア各地の約2,000名、73集団(と非アジア人2集団)を対象に遺伝子多様性を調査した。[Science]
  • 集団の定義は「少なくとも3代は同じ地域に住んでいる人たち」[共同]
  • 日本は、本州など(71人)と沖縄(49人)が、それぞれ一つの集団として対象となった。[共同]
  • 日本からは、北海道医療大の新川詔夫個体差健康科学研究所長、国立遺伝学研究所(静岡県三島市)の五條堀孝副所長、豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)の榊佳之学長らが参加[時事]

4.2.研究結果から発見・推定されたこと

  • 婚姻関係を結ばないと考えられていた集団を含め、すべてのアジア人集団には言語的・文化的・民族的証拠に基づいた相当な関連性がある。[Science]
  • 遺伝的関連性の観点からは同一の言語を使用する集団を1つの集合と見なせる傾向がある。。ただ一部の集団はこれには該当せず、地理的に近い集団が1つの集合であると考えられる場合もあり、これは集団間での婚姻関係が最近おこなわれたこと、ないしは種々の言語が使用されていたことを示唆している。[Science]
  • アジアでの人の居住が東南アジアとその後に中央・北東アジアという2回に渡って起こったのか、単回であったのかが長く議論されてきた。この問題に対し、本研究の結果はの後者の仮説に一致するものとなった。[Science]
  • アジアの人々の祖先が南から次第に北へ分岐していくという結果が現れた。南の集団は北の集団よりも遺伝的多様性に富んでおり、一般的に移動するほど多様性は失われることから、南から北に広がったことを裏付ける。[共同]
  • 今回の解析には、アイヌなどアジア北方の民族が含まれておらず、北回りで南下したルートが存在した可能性がある。しかし、東京大の菅野純夫教授や徳永勝士教授によると、東 アジアの現在の住民には、南から北上した人々の遺伝子が大きく影響しており、日本の本土や沖縄の住民は韓国人と最も近いという。[時事] 
  • 遺伝学的な系統と言語学的な近縁性はよく一致。たとえば、日本人の集団は本土住民、沖縄住民ともに韓国人と近縁で、言語学上はアルタイ語族に属する。[産経] 
  • 各民族間にどの程度の差があるのかも今回の研究で確認された。韓国人とアフリカ人の差を100とした場合、韓国人と中国人は5.03、韓国人と日本人は4.23、中国人と日本人は6.99、韓国人とヨーロッパ人は58.2だった。 [中央日報]

4.3.私が思うところ
  • 本研究における"アジア"はインド以東を指すようだ。
  • 日本の集団は「本州など」および「沖縄」の2つで、アイヌと北方民族は「本州など」に含まれてしまっているか、考慮されていないのだろう。
  • 本研究は、大きく"アジア"の民族集団の移動を俯瞰的にみるには良いだろうが、たとえば日本への民族流入のようなものを検討するには大雑把すぎる。

1 件のコメント:

  1. 地理的に近ければDNAや外見や言語も似かよっていて当然ですよね。学者達が何を言いたいのか、いまいちよく分からないな。

    空間的な移動から見て、日本人と他のアジア人との差が、相対的に欧州人との差より小さいとしても、時間軸で考えたら、日本人と他のアジア人との分岐ははるか10,000年前です、とうことだったら、あまり違いの差を比較しても意味ないような気が。結局共通点なんてほとんどないということでしょう。

    はるか昔に世界の人びとは枝分かれしたけど、日本人とその他アジア人の枝分かれは時間的には後のほうだってことを確認しました、学者より。…ってだけでしょうかw

    返信削除